特別方式遺言書【一般危急時遺言について】
通常の遺言書は「普通方式遺言」と言い、決まりに従ってある程度時間をかけて作成するものです。
ですが生命の危機に直面した際に作成するものを「特別方式遺言書」と言います。ここではその中の「一般危急時遺言」について説明します。
知っておくだけでも安心です。
特別方式遺言書って?
特別方式遺言書は冒頭で述べた通り「死亡を予測させる危機的状況に遭った時など、ゆっくりと遺言書を作成できない場合で作成する特別な遺言書」を指します。
危機的状況に遭遇しているからこそ有効な遺言書ですので、遺言者が普通の方式で遺言書を作成できる状況になってから6ヶ月生存した場合は無効となります。十分注意してください。
なお、特別方式遺言書には以下の4通りがあります。
- 一般危急時遺言
疾病や負傷などで生命の危機が迫っている - 難船危急時遺言
船舶、飛行機に乗っている際に生命の危機に遭遇した - 一般隔絶地遺言
伝染病による行政区分で隔絶された場所にいる - 船舶隔絶地遺言
船舶に乗っていて陸地から離れている(飛行機は対象外)
一般危急時遺言について
一般危急時遺言は、民法976条に以下の通りに定められています。
疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするとき
疾病その他の理由、つまり怪我や自然災害などもこちらに含まれます。
以下、条件と手順となります。
- 証人三人以上の立会いが必要
- 証人三人のうち一人に遺言の趣旨を口授する
- 口授を受けた証人が遺言の趣旨を筆記し、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、または閲覧させる
- 各証人がその筆記の正確なことを承認した後、署名、押印する
つまり、遺言者以外にその場に三人以上いる必要があるということなので、ある程度人がいる場所で作成することが必要となります。
家族ふたりだけ、などでは無理と言うことになりますので気をつけましょう。
また、その後の証人の署名なども必要ですので、少なくとも証人のうち一人は遺言書の作成について知っておく必要がありますね。つまり遺言者以外でも知識があった方がもちろん良いのです。
家庭裁判所の確認が必要です
特別方式遺言書は普通方式の遺言書に対して例外的に認められるものなので、家庭裁判所での確認が必要です。以下がその要件となります。
- 遺言の日から20日以内に証人の一人、または利害関係人から家庭裁判所に一般危急時遺言の確認の請求をすること
- 家庭裁判所が、その遺言が遺言者の真意を表明したものであるという心証を得て確認を行うこと
知識を得ておくだけでも大切です
もちろんできるだけこのような遺言書を作成したくはないですが、いつなんどき、何が起きるかわからないと考え、知識を蓄えておくことはとても大切なことですし、後々のトラブルのリスク回避にもなります。
茨城県の法律事務所DUONは遺言書の作成アドバイスなども行っておりますので、遺言書の作成を考えている方はご相談ください。初回相談料は無料です。