内縁関係の解消について(2)【財産分与、損害賠償】
「内縁関係の解消なんて別れるだけでしょ?」「ずっと一緒に暮らしてきたのに勝手に別れるって言われた!」。籍を抜く「離婚」とは違うだけにただただ戸惑っている方も少なくありません。
でも内縁関係は立派に法律で定められている部分もあり、別れる時の損害賠償も存在します。「別れる予定はない」という人でも念のために読んでおいてくださいね!
このコラムは前回の 内縁関係の解消について(1)【内縁関係って何?】 の続きになりますので、まだ読んでいない方はこちらを先にどうぞ。
内縁関係には法的義務が発生します
前回のコラムから引用します。
内縁関係は、婚姻届を提出した「法律婚」に準ずるものとして、法的な権利義務が発生します。以下が主なものです。
- 同居・協力・扶養義務
民法752条に「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」とありますが、これは内縁関係でも適用されます。- 貞操義務
民法770条に準じ、内縁関係でも貞操義務があります。つまり不貞行為をすることは認められません。
ただし「一緒に住んでれば内縁関係になる」というわけではなく条件があります。前回のコラムをお読みください。
弁護士コラム:内縁関係の解消について(1)【内縁関係って何?】
内縁解消時の財産分与について
内縁解消時の財産分与は法律婚と同様、内縁関係時に互いの協力で築いた財産を分け合います。つまり法律婚の際の「財産分与」と同様のことが行われます。
ただし死別、つまり相手方が亡くなったことによる内縁解消の場合は財産分与は適用されません。内縁関係にあっても相続権が存在しないので、財産を継承する権利は他の相続人にあります。
※相続人が存在しない場合は内縁相手が財産を継承することもありますし、遺言書で遺すこともできます。詳しくはコラム 内縁の妻や夫は相続できるの? をご覧ください。
正当な理由がなければ損害賠償を請求できることも
上で述べたように「内縁関係は法律婚に準ずるもの」ですから、それを破棄する場合、正当な理由がなければ損害賠償を支払わなければなりません。
そして、その「正当な理由」とは、離婚に際しての「離婚事由」と同様の内容となります。以下、離婚事由と比較して説明します。
- 不貞行為
内縁相手が不貞行為を行った。籍を入れてなくても浮気はいけません。 - 悪意の遺棄
内縁相手から虐待された、暴力を受けた、生活費を渡さないなど。相手に責任を持ちましょう。 - 3年以上の生死不明
内縁相手が3年以上行方が分からず生死も不明。勝手に家出すると自分に不利益になります。 - 強度の精神病
内縁相手が回復困難な精神病である。重度かつ回復の見込みがない場合に限られます。 - その他婚姻を継続し難い重大な事由
上記(1)〜(4)に該当しないが、内縁関係を継続するのが困難だと判断されたものがこちらに入ります。
内縁相手に実は妻がいたが隠していた、大きな借金を隠していた、過度な宗教活動をしている、薬物中毒である、その他様々です。
離婚事由について詳しくはこちらをご覧ださい。
記事:離婚事由
法律婚でないからこその難しさがあります
法律婚であれば様々な決まりや多くの判例があるので解決しやすいことでも、内縁関係だからこそ難しくなってしまうケースもあります。個人で解決できない場合は家庭裁判所で調停を行うことも可能です。
お互いがなかなか歩み寄れず結論を導き出すのが困難な場合は、弁護士などの法律のプロに一度相談されてみてもいいかと思います。
茨城県で内縁関係でお悩みの方は、法律事務所DUONへご遠慮なくどうぞ。初回相談料無料ですのでお気軽にご連絡ください。