法律相談の時間を有効にご利用いただくために、準備するもの・伝え方のポイントを弁護士が解説。
弁護士に法律相談をするときには、なるべく時間を有効活用したいものです。
法律相談は時間も限られていますし、有料となるケースも多いからです。相談者と弁護士のお互いの貴重な時間を割くのですから、効率的に進めましょう。
この記事では法律相談の時間を有効に活用するために準備すべきポイントをお伝えします。
これから法律相談を利用される方はぜひ参考にしてみてください。
1.要点を整理してメモを作成する
弁護士に相談するときには、事前に要点を整理したメモを作成するようおすすめします。
弁護士に聞きたいことや自分が言いたいこと、希望する解決方法などをまとめておかないと、当日その場では忘れてしまうケースが多いからです。
たとえば離婚案件であれば、以下のようなことをメモに書き出しておくと良いでしょう。
- いつ結婚したのか
- 家族構成(未成年の子どもの有無や年齢などを含めて)
- 財産の内容
- これまでの事実関係の経過(時系列表があると良い)
- 主なトラブル原因(相手の不倫また不倫の疑いがあるなど)
- 希望する離婚条件
どのような方法で解決したいのか、裁判してもかまわないのかできれば協議離婚したいのかなども書いておくと、弁護士に伝わりやすくなります。
また財産分与を求める場合、財産の資料や一覧表があると話が伝わりやすくなります。
2.証拠を集めて持っていく
次に、相談内容に関係しそうな証拠や資料はすべて持参することが大切です。
相談内容に出てきても、具体的にどういった証拠があるのかがわからないと弁護士としても判断がつかないケースも多いためです。
たとえば遺産相続の案件であれば、以下のような資料を持参しましょう。
- 被相続人名義の預金通帳
- 残高証明書、取引明細書
- 不動産の全部事項証明書
- 車検証
- 相手とのこれまでのやり取りがわかる資料(メールや文書など)
他にも関係しそうなものがあれば、できるだけ持参すべきです。量が多いなどの事情で持参が難しい場合、事前に弁護士に問い合わせてどのように対応するのが良いか、相談しましょう。
3.事実は端的にわかりやすく伝える
弁護士に法律相談するときには、これまでに発生した事実関係を正確に伝えなければなりません。
基本として「誰が、いつ、どこで、何をしたか」をわかってもらう必要があります。そのためには余計なことを言うべきではなく、事実をわかりやすく端的に伝えましょう。
自分の推測や気持ちなどは後回しにして、まずは起こった事実を抽出して伝えることが重要です。うまく伝えるのが苦手な方の場合、時系列表などを作成して弁護士にみてもらうと、内容を伝えやすくなります。
4.希望する解決方法を伝える
法律相談の際、希望する解決方法があれば弁護士にはっきり伝えましょう。
同じ相談内容でも、相談者の希望する内容によって解決の方針が変わってくるケースがあるためです。
たとえば遺産相続のケースで、被相続人が借金を残していたとしましょう。この場合、相談者が「相続を一切望んでいない」なら相続放棄すべきと考えられますが、「借金は少額なので相続して資産も承継したい」希望であれば、他の相続人と遺産分割協議をしなければなりません。
自分の希望をはっきり伝えないと、弁護士から効果的に希望を実現できるアドバイスを受けられない可能性があります。
当日、何から話してよいかわからない場合やいきなり問われると戸惑ってしゃべれなくなってしまう場合、メモに自分の希望をまとめておくと良いでしょう。
5.法律相談に持参するもの
法律相談時には、以下のようなものを持参しましょう。
5-1.関係ありそうな資料すべて
その相談内容に関係のありそうな資料はすべて持参しましょう。
たとえば預金通帳や相手から届いた書面、内容証明郵便、仮差押の通知、裁判所からの呼出状などです。
「これはいらないだろう」などと自己判断せず、すべて持参することが正確なアドバイスを受けるためのコツといえます。
5-2.事前に集めた証拠
その案件に関して集めた証拠があれば、すべて持参しましょう。
たとえば不倫が疑われるケースであれば、以下のようなものが証拠になります。
- 写真や動画
- LINEやメールなどのメッセージ
- 相手が書いた不貞行為の自認書
- 日記やスケジュール帳
- 交通ICカードの履歴
- クレジットカードの明細書
証拠があるかないかで、弁護士がとりうる行動も変わってきます。
証拠資料が膨大になる場合には、事前に弁護士に問い合わせてどこまで持っていけば良いのか確認しましょう。事務所によっては、先に宅急便やメールなどで送付してもかまわないと言ってくれるケースもあります。
5-3.時系列表
法律相談する場合、必ず「時系列表」を作成して持参するようおすすめします。
時系列表とは、これまでの経緯について事実関係を中心にまとめた表です。
時系列表があると、弁護士が一見してこれまでの経過や問題になりそうな点を把握しやすいので、非常に便利です。
相談の際にも、時系列表があるとその内容に従って話を進められるので、話の脱線や混乱を避けやすくなります。
5-4.質問したいことをまとめたメモ
法律相談の際には、必ず相談したい内容をまとめたメモを持参しましょう。
- 弁護士に聞いておきたいこと
- 希望する解決内容
少なくとも上記2点についてはメモをまとめておくべきです。
用意しておかないと、当日は頭が真っ白になって話せなくなってしまう方も少なくありません。
5-5.印鑑
法律相談の際、そのまま弁護士に案件を依頼する可能性があります。その際には委任状や委任契約書に印鑑を押さねばなりません。印鑑がないと、後日の郵送になってしまいます。
後になって対応するのは面倒なので、当日印鑑を1つ、持参しておくと良いでしょう。
5-6.身分証明書
はじめて弁護士に相談するときには、身分確認が行われるのが通常です。免許証など本人確認できる資料を持参しましょう。
7.法律相談の注意点
7-1.不利な事実も隠さず話す
法律相談の際、自分の不利になることは話しづらいものです。しかし不利な事実を告げないと、弁護士が正確に判断できず、結果的により困難な事態に陥ってしまうケースが少なくありません。
不利な事実を隠したり嘘をついたりしても、案件を進めるうちに発覚してしまうケースがほとんどです。後になって嘘が発覚すると弁護士との信頼関係も失われてしまい、その弁護士に依頼し続けるのが難しくなってしまう可能性もあります。
不利になりそうなことでも正直に話し、嘘はつかないようにしましょう。
7-2.弁護士の守秘義務について
弁護士に不利な事実を話すと、情報漏えいが心配な方もいるでしょう。
しかし弁護士には守秘義務があるので、情報漏えいに関する心配は不要です。弁護士は職務上知り得た情報を第三者に漏らしてはならない義務を負います。たとえ家族であっても事件に関する内容を話してはなりません。
弁護士から不利な情報が漏れる可能性はないので、安心して本心や本当のことを伝えてください。
7-3.素人と専門家では判断基準が異なるケースも多い
ご本人が「不利になる」ととらえている情報でも、弁護士などの専門家からすると「有利な情報」である場合が少なくありません。自己判断せず、専門家を信頼して本当のことを言いましょう。
8.分野別の法律相談で弁護士に伝えるべきこと
法律相談では、弁護士に必要な事項を伝える必要があります。
以下では離婚、相続、交通事故、債務整理に関して弁護士にどういった情報を伝えればよいのか、解説します。
8-1.離婚相談
離婚相談をしたい場合、以下のような情報を弁護士に伝えましょう。
- 結婚日、結婚した時期
- 子どもの人数や男女別、居住している場所
- 別居の有無、別居しているなら別居の年月日
- 夫婦関係が不和になった原因
- 誰にどのようなことを請求したいのか、あるいは請求されているのか
不倫の証拠や暴力を受けた証拠、財産分与の資料などがあるとスムーズに話を進めやすくなります。
8-2.交通事故の相談
交通事故について相談する場合、以下のような情報を弁護士に伝えましょう。
- 事故証明書の内容
- ドライブレコーダーの記録内容
- 保険会社から届いた書類
- 事故の日時や場所、状況
- 運転当時の行き先や目的など
法律相談時には事故証明書や保険会社から届いた連絡書、示談案、内容証明郵便などの書類を持参しましょう。
ドライブレコーダーの記録がある場合、どのような形で持参すればよいのか事前に相談しておくとよいでしょう。
8-3.遺産相続の相談
遺産相続に関する相談の場合、以下のような情報を伝えましょう。
- 家族関係(被相続人と相続人やその家族の家系図)
- 被相続人の死亡年月日
- 遺産の一覧表
- 遺産に関する資料
- トラブルの原因
相続関係の場合、どのような遺産があるのか、相続人としてどのような人がいるのから問題となります。わかりやすいように、相続人に関しては家系図を、相続財産については一覧表を作成して持参すると良いでしょう。
遺産の資料については膨大にある可能性もあるので、どこまで持参すべきかは事前に弁護士へ確認しておくようおすすめします。
8-4.債務整理や借金返済の相談
借金がある場合、弁護士に債務整理を依頼すると解決できるケースがほとんどです。
相談したい場合は、以下の情報を弁護士に伝えましょう。
- どこからどのような借り入れをしているのか
- 借金の残高
- 現在の月の収入と支出
- 利用しているカード
- 借金の原因
- どのような財産があるのか
- 取引期間(借金を開始した年月日や最終返済日など)
- 毎月の返済額
- 現在の取り立ての状況(督促を受けているのか、一括請求されているのか、訴訟を起こされているのかなど)
債務整理について相談するときには、最低限「どこからどのくらいの借り入れがあるか」を告げなければなりません。カードなどの資料はなくても相談できますが最低限、借り入れ状況だけは明らかにして弁護士へ知らせましょう。
借金の原因や今まで借金を重ねてきた経緯、財産関係や収入と支出の状況などについても伝える必要があります。
9.可能な範囲で準備をして弁護士へ早期に相談しましょう
弁護士に相談する場合、効率的に話を進めるには準備を行っておくべきです。
メモや時系列表、資料などの用意をしましょう。
ただ、準備が整わないと弁護士に法律相談ができないという意味ではありません。状況によっては相談を急ぐべきケースもあります。
たとえば債務整理の場合、任意整理であればほとんど何の資料も不要で、本人の申告のみで手続きを進められる場合も珍しくありません。
弁護士に法律相談をするときには可能な範囲で準備を進めて、早めに申込みを行うことが重要です。
DUONでは離婚や相続、交通事故や債務整理、企業法務などの分野で精力的にリーガルサポート業務を行っています。お悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。