離婚協議書は必ず作ろう【養育費を例に】
「養育費が払われなくなった」などのトラブルはまだまだ数多くあります。そういった場合に「離婚協議書を正しく作成していなかった」ということも散見されます。
訴訟にならない離婚でも、離婚する際、そしてした後の決まりごとは必ずありますので、離婚を検討する際は必ず「離婚協議書」の作成、それも「公正証書での作成」を考えて下さい。作成には様々なノウハウがありますが、ここでは主な注意点をあげています。
離婚協議書に盛り込むべき内容
養育費を含む離婚についての様々な条件の同意が得られたら「離婚協議書」を必ず作成しましょう。例えば養育費については
- 子どもが何歳になるまで払うか
- 子ども1人あたりの養育費の金額はいくらにするか
最低限これくらいは決めておかないといけません。
- 養育費を受け取る側が再婚したらどうするか
- 子どもが予め定めておいた期間前に就職した場合はどうするか
- 私立に入学した際の学費はどうするか
等も定めておけば、将来の紛争の防止に役立つでしょう。
養育費の履行を確保する
養育費の未払いが大きな社会問題になったことを受けて平成15年から法律が改正され、養育費の履行を確保するための制度ができて来ています。
※「履行確保」についての詳しい説明は後日記載します。
今回は養育費をもらう側の履行確保の手段を説明します。よく行われるのは「離婚協議書を公正証書で作る」という方法です。この公正証書の中に「執行受諾文言」を入れることにより、裁判をしなくても相手の財産を差し押さえることができます。ですので養育費の不払いに大きな効果があります。
ここで注意が必要な重要な点があります。それは「相手にそもそも差し押さえられる財産がなければ、公正証書があっても意味がない」ということです。ないものを相手からむしり取ることは不可能ということです。
しかし公正証書を作ということ自体が相手に対しては心理的な圧力にはなりますので、そういう意味では意味があります。
離婚問題は相手の人格も見る
心理的な圧力を感じて毎月支払ってくれる真面目な人なら、上述した「公正証書」は十分に意味があるものです。しかし、公正証書が目の前にあっても「だから?ないものは払わないよ」とスルーしてしまう、まったく効果のない人もいます。これではどうしようもありません。
ですので公正証書を作る際には様々なことを綿密にシミュレーションする必要があります。
- 公正証書を実際に使うのはどのような時か
- 使った時に相手がどう出るか
- 相手の財産は何がどれだけあるか
上記は最低限の項目を抜き出しましたが、考えておくべき要素はこれ以外もまだまだたくさんあり、それぞれの夫婦の状態によってもかなり変わって来ます。
財産がない場合は給料を差し押さえる
そんなにたくさんの財産がある人もそうそういませんので、会社員などの多くの場合は「給料を差し押さえる」ということになります。
しかしこれにも問題があります。相手が転職したりして就業先が分からなくなると差し押さえようにもできなくなってしまうからです。
ですので、離婚協議書にはさらっと「就業先、居住先、連絡先が変わった場合は教えること」という一文を入れましょう。
いかがでしょうか。「協議離婚だったから弁護士を挟まなかった」という方は多くいらっしゃいますが、将来的なトラブルを未然に防ぐにはやはりプロの視点で作成することが安心です。
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(弁護士 玉本倫子:プロフィール)