債権回収を弁護士に依頼するメリット|売掛金等未払い金の回収は弁護士に依頼する?

回収できていない未払金があるけれど、回収のためにどのような手段を採ればよいのか。
どの程度コストをかければよいのか、弁護士に頼んだ方が良いのか。
こんなことでお悩みの方もきっといることでしょう。
そこで今回は、債権回収の方法や弁護士に依頼するメリットなどについて解説していきます。

1 債権回収の方法

一口に債権回収といっても、回収には様々な方法があります。

1-1 督促状の送付

ひとつめに、弁護士名で返済を求める督促状を送付する方法が挙げられます。
督促状は通常、内容証明郵便を用いて送付します。
消滅時効の完成が近い債務については、内容証明郵便の送付は、「催告」としての効果があり、時効の完成を6か月間猶予することができます。

1-2 法的手続

裁判所を利用した法的手続を採ることも可能です。以下の方法があります。

1-2-1 支払督促

支払督促とは、債権者の申立てに基づき、債務者に金銭の支払い等をするよう督促する旨の裁判所書記官の処分です。
具体的には、債権者の申立て内容に即して金銭の支払い等をするよう命じる書面を債務者宛に送付する方法によって行われます。
支払督促の申立手数料は非常に低額で、例えば請求額が100万円の場合は5000円です。後述する訴訟提起の方法の場合は1万円かかるので、2分の1ということになります。
また、納める郵便切手も、1200円程度(相手方が増えるごとに加算されます)と非常に低額です。
支払督促に対して債務者が督促異議の申立てをしたときには、訴訟に移行することとなります。督促異議の申し立てがされなかった場合には、支払督促は、確定判決と同じ効力を持つとされています。

1-2-2 訴訟提起

未払をしている債務者を被告として訴訟(裁判)を提起するという方法もあります。
訴訟を提起する際には、訴額(訴える際の金額)に応じて手数料を支払うことが必要であり、また、これとは別に当事者(原告及び被告)がそれぞれ1名の場合に概ね5000円から6000円分の切手を納める必要があります(当事者が1名増すごとに、原則として数千円が加算されます)。
訴訟提起には比較的多額の費用が必要となります。また、訴えが裁判官に認められて勝訴判決を得るためには、自身の主張を裏付ける証拠が必須となります。

1-2-3 民事調停

民亊調停とは、通常簡易裁判所で行われる手続で、調停委員を挟んで、話し合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。
手数料は、支払督促と同様です。また、納める切手の金額は相手方1名につき600円程度となっています。

1-2-4 少額訴訟

60万円以下の金銭の支払請求について用いることができる簡易裁判所の手続で、原則として1回の審理で終了することが予定されています。
原告の主張が認められる場合でも、分割払いや支払猶予、遅延損害金の免除といった、被告の事情に即した内容の判決が言い渡される可能性があります。
手数料や納める切手の金額は、通常の訴訟の場合と同じです。

2 弁護士に依頼するメリット

債権回収は上記の方法を駆使すれば、当事者本人でもできるように思えます。しかし、弁護士に依頼することには、以下のメリットがあります。

2-1 相手方の所在を調査できる

債権回収においては、よく、相手が所在不明になっていて請求したくても請求できないという事態になることがあります。
このような場合、一般の方は、他人の住所を調べる術がほとんどないため、回収をあきらめざるを得ないリスクがあります。
しかし、弁護士は、法律上認められた権限により、住所を調査することが可能です。
まずひとつめは、職務上請求という方法です。これは、受任した事件のために必要性がある場合に、個人の住民票や戸籍謄本などを市町村役場に請求できるというものです。
この方法を使えば、本籍地がわかる場合や旧住所がわかる場合に、戸籍の附票や住民票の除票を取得して、相手の現住所を調査することが可能です。
旧住所や本籍地がわからない場合でも、預金口座や携帯電話の番号がわかる場合には、弁護士法照会というものを利用して、銀行や携帯電話会社に住所情報の開示を求めることが可能です。

2-2 相手方が連絡してくる可能性が高まる

当事者が自身の名前で内容証明を送付しても、相手方がこれを無視する場合も少なくありません。
しかし、弁護士名で内容証明を送付すると、相手は、「本気で回収をする気だ」「もしかすると裁判をされてしまうかもしれない」というプレッシャーを感じ、支払をしてきたり、分割払いや支払猶予の交渉をするために連絡をしてきて、回収ができることも少なくありません。

2-3 法的手続に対応してくる可能性が高まる

当事者が本人で法的手続をとっても、やはり相手方が無視することがあります。また、弁護士が介入しても、内容証明を送付しただけでは、「まだ大丈夫」とタカを括って、連絡をしてこない人もいます。
しかし、弁護士が代理人として、訴訟などの法的手続を採ると、このまま放置していては財産を差し押さえられてしまうかもしれないという大きなプレッシャーを相手が感じ、答弁書を出す、裁判に出席するといった対応をしてくることもあります。

2-4 債権額や回収可能性など個別事情に応じた手続を選択してもらえる

当事者本人が法的手続を採ろうとしても、どの手続が良いのかわからず、費用が安いからという理由だけで支払督促や民事調停などを選択し、最終的に回収ができないということになりがちです。
しかし、弁護士に依頼をすると、債権額や回収可能性、証拠がどの程度あるか、相手が反応してくる見込みがあるかといった事情を勘案しながら、最適な手続を選択してもらえます。

3 司法書士や行政書士との違い

司法書士や行政書士に債権回収を依頼する人もいますが、弁護士とはどのような点が違うか、以下に解説します。

3-1 行政書士は書面作成しかできない

行政書士は、代理人として相手方と交渉する権限や法的手続を起こす権限を有していません。
そのため、債権回収を依頼しても、本人名義の書面の作成をしてもらうことができるだけで、実際の相手方との交渉や調停、訴訟への出頭は、当事者本人がしなければなりません。
「行政書士」という肩書を使って相手方にプレッシャーをかけることは一切できません。

3-2 司法書士は140万円以上の案件は対応できない

簡裁代理権を有する司法書士は、140万円未満の案件については、1に記載した方法をいずれも行うことができますが、140万円以上の案件については対応することができません。
ですので、金額が大きい債権回収については、司法書士に依頼することはできません。

4 債権回収時に注意するべき点

4-1 脅迫にならないように気をつける

いくら相手が返済をしないからといって、「支払いをしなければ、お前の不倫を奥さんにばらす」「命がどうなっても知らないぞ」などという脅迫的な言葉を吐いて回収しようとしてはいけません。
このようなことをすると、脅迫罪(刑法222条)に当たるとして被害届を出され、最悪の場合には刑事罰を受ける危険性があります。

4-2 個別の事情に応じた手続を選択する

1で記載した方法のどれを選択するかは、個別の事情に応じて決める必要があります。
例えば、一般的に、債権額が比較的大きくて相手の対応をあまり期待できない場合には、早急に訴訟を提起して裁判官に判決を下してもらい、速やかに強制執行の手続を採るのが最適といえます。
債権額が低額で相手の対応が期待できない場合は支払督促、相手の対応がある程度期待できる場合には民事調停や少額訴訟といった手続選択になります。
ただし、これはあくまで原則論なので、実際には、個別具体的な事情に応じて、弁護士と相談しながら、適切な手続を選択する必要があります。

4-3 相手の支払能力を冷静に判断する

いくら債権額が大きくても、相手に支払能力がない場合には、全額の回収は困難で、また、一切の回収ができないということもあります。
特に売掛金を支払ってこない業者というのは、事業がうまく行っておらず自転車操業になっている可能性も否定できません。
そうすると、コストをかけて手続を採っても、費用倒れで終わってしまうことになります。
ですので、相手の支払能力を冷静に判断したうえで、どのような手続を採るか、どこまで対応するかを、弁護士と相談しながら決める必要があります。

5 まとめ

債権回収は、相手の資産状況・収入状況によって、結果が大きく変わりうるもので、そういった問題を冷静に見極めながら対応する必要があります。
当事者が個人で判断するのは難しいことも多く、弁護士の助力が必要です。
当事務所には、債権回収に精通した弁護士が在籍しております。債権の回収でお悩みの方は、是非お気軽にご相談ください。

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