民事再生
民事再生手続とは
民事再生手続とは、経済的困窮状態にある債務者について、債権者との利害関係を調整して、事業または生活の再建を図る手続です。
債権者の立場からすると、債務者の財産を換価して配当するような清算型で、債権全部の弁済を受けられないよりも、債務者を再建させることによって、より多くの債権の弁済をしてもらえる方が良いです。
債務者からすると、破産等をすると法人格はなくなり連帯保証人である社長も多くの場合自己破産することになり、それよりも債権者らの支援を得ながら事業の再建を図れる方がよりメリットもあります。
民事再生手続は、債権者と債務者の上記のような利害関係が調整できる場合に利用できる手続です。
本来的には、事業等の再建を図る手続ですが、順次事業を縮小して最終的に事業を廃止する場合や債権者との利害調整のためにM&A手続を行うために民事再生が申立てられる場合もあります。
また、不良債権処理のために、債権者側から民事再生の申立てが行われる場合もあります。
民事再生手続は、破産した場合よりも債権者に対する弁済率が上回ることが要件です(清算価値保障原則、民事再生法174条2項4号)。
平成11年に手続ができた当初は、中小企業や個人事業主を対象に利用されることが予想されていたが、現在では、中小企業等に限られず大企業等でも広く利用されています。
民事再生手続の特徴
民事再生法を利用した場合も債務者が引き続き経営を行う事ができます。破産等の清算型の手続や会社更生の場合は、経営者の経営権は停止されてしまうことと対照的です(民事再生法38条1項)。
また、会社更生手続と比べた場合は、比較的迅速な手続であると言えます。たとえば、東京地方裁判所が公表している標準的スケジュールでは、申立てから開始決定までの日数は1週間、申立てから認可決定までは約5か程度と定められています(但し、ケースにもよりますが破産手続でも上記期間で免責決定まで得られることは珍しくありません)。
なお、会社更生手続は、株式会社しか利用できませんので、学校法人や個人事業主は、会社更生手続を利用することはできません。
一方で民事再生手続は、個人事業主や学校法人等すべての法人が利用できます。
民事再生手続を利用するためには、まず経営が改善する見通しがなければなりません。その上で、債権者に債権を免除してもらう必要がありますから、債権者が今後の再建を託そうという経営者への信頼がなければ難しい手続ですが、民事再生の手続が奏功した場合は、債務者にとっても債権者にとっても良い結果を享受できます。