パワハラ、セクハラ…ハラスメントとは何か
「パワハラ」「モラハラ」「マタハラ」など、○○ハラと呼ばれる「ハラ」は、皆さんご存知の通り「ハラスメント」の略です。
ところでこのハラスメントとはどういう意味でしょう?今回は、ハラスメントについて説明します。ハラスメントは行きすぎると、不法行為が成立します。
その言葉、ハラスメントかもしれません。
ハラスメントの定義
ハラスメントの定義について、大阪医科大学のサイトにわかりやすくまとめられていましたので転載いたします。
ハラスメント(Harassment)とはいろいろな場面での『嫌がらせ、いじめ』を言います。その種類は様々ですが、他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることを指します。
大阪医科大学 より
ここでまず気をつけなければならないのは「他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく」という部分です。
つまり「うっかり言ってしまった」ことでも、相手が大きく傷ついてしまったとしたら、それは「ハラスメント」として成立してしまうことになります。「そんなつもりはなかった」では許されませんので気をつけましょう。
様々なハラスメント
「パワハラ」「セクハラ」など、ハラスメントは数多くあります。それでは具体的にはどのようなものがあるか、代表的なものを取り上げてみました。
セクハラ(セクシャル・ハラスメント)
- 性に基づく身体的特徴を茶化す
- 身体に触る
- 猥褻な写真(裸体の女性のポスターなど)を貼る
などと言ったものから、性的関係を強要するといった極めて悪質なものまで幅広くあります。
セクハラで特に気をつけたいのが、特定の個人に向けられたものだけではなく特定多数に向けられたものもあるということ。
判例ではありませんが、胸元を強調したイラストのポスターが「セクハラだ」と批判を浴び、撤去される例なども少なくありません。
パワハラ(パワー・ハラスメント)
主に職場などで問題視されるパワハラは、厚生労働省によって以下のように定義付けされています。
職場のパワーハラスメントの行為類型は以下のとおりです。(ただし、職場のパワーハラスメントのすべてを網羅するものではありません。)
(1) 身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2) 精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3) 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4) 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5) 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6) 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)こころの耳 厚生労働省 より
パワハラはもちろん職場に限ったことではなく、地域の団体やクラブなど、組織があればどこでも発生するものです。
モラハラ(モラル・ハラスメント)
モラハラとパワハラは、実は意味合いが非常に似ています。なぜ二つの単語が存在するのかというと、
- パワハラ=和製英語。日本で生まれた言葉
- モラハラ=フランスの精神科医が定義した言葉
なのです。ですので、この二つは明確に分けることはできませんが、一般に
- 上司など、立場が上の者が行う=パワハラ
- 夫婦や友人などフラットな関係=モラハラ
と使い分けるケースが多いようです。
マタハラ(マタニティ・ハラスメント)
主に、働く女性の妊娠・出産・育児が原因となり、職場などで嫌がらせを受けたり解雇や不当な降格などの不利益を被ることを指します。
最近では職場のみならず、ベビーカーでで電車を利用する女性が暴言を受けたりなどといったことが社会問題化しています。
アカハラ(アカデミック・ハラスメント)
学校や研究機関におけるいじめ、嫌がらせを指しますが、最も多く問題になるのが「上位のものによる、下位の者への嫌がらせ」です。例えば
- 研究員に雑務ばかりを行わせ、研究の機会を与えない
- 研究や昇進を妨害する
- 指導するべきなのに行わない
- 昇進を条件に過剰労働を強要する
など様々です。アカハラが発生する要因は「極めて閉鎖的な人間関係」で外部の目が行き届かないとも指摘されており、アメリカの研究機関で大きな問題になりました。
ドクハラ(ドクター・ハラスメント)
ドクハラはドクター、すなわち医師のみならず看護師などの医療従事者全般による、患者に対するハラスメントを指します。例としては
- 患者の健康状態について不用意な発言をした
- 患者に対して高圧的な態度を取った
- 看護師に痛みを訴えたが無視された
- 患者のカルテの開示要求に応じない
など多岐にわたります。
医師などといった立場を利用して、弱い立場である患者やその家族に嫌がらせをするのは、昨今ではニュースなどでも取り上げられる大きな問題となっています。
心ない言動、行動、態度に気をつけましょう
ここに挙げたのは代表的なものですが、この他にも様々なハラスメントがあり、そのほとんどが「耐え難い精神的な苦痛を与える」ものです。
精神的な苦痛はうつ病を招く原因にもなり、受けた人の人生に大きな影響を与えることもありますので、絶対に起こさないよう気をつけましょう。過度のハラスメントは、不法行為が成立し、損害賠償責任を負うことになります。
法律で解決できることもありますので、茨城県でハラスメントでお困りの方は、法律事務所DUONへぜひご相談ください。初回の相談料は無料とさせて頂いております。